自分がまだ幼稚園に行ってるころか、あるいはせいぜい小学生の低学年になっていたくらいか、その頃に見ていた西部劇があったのです。
主人公は若かりし頃のスティーブマックィーンで、「拳銃無宿」という邦題がついていました。彼はいわゆるおたずね者を捕まえては、懸かっていた賞金をもらって生計を立てる、いわゆる賞金稼ぎだったのです。
つかまえる相手は極悪非道な悪者ばかりで、当然捕まったら死刑になるかもしれないので命がけで攻撃してくるわけですから、毎日が危険と隣り合わせなのです。
捕まえた悪者の手を縛って馬に乗せて、自分も別の馬にまたがって一緒に長旅をしているシーンがよく出てきていたのを覚えています。
彼の名前はジョッシュ・ランドールというのですが、ライフル銃を短くしたような何とも魅力的な銃を腰に下げているのです。
その銃は、彼の名にちなんでランドル銃と言っていました。あまりに欲しくて、買ってもらった記憶があります。自分にとっては、売っていたことが奇跡でした。
そのドラマの中では、どういうわけかそのランドル銃をすぐに奪い取られてしまうのです。そしていつもヒヤヒヤさせられていました。
その特殊なランドル銃が彼の強さの象徴であったわけですが、幼い自分が自分のか弱さをよく知っていて、そうした強くなれる武器に憧れていたんだなということがよく分かります。
幼い頃からすでに男の子と女の子の志向の違いがはっきりとあるのですね。武器に興味があるというのは、立派なエゴのその後の発育を思い知らされます。
自分は卑小で本当は弱虫で痛がりですぐに泣く、そう言う自分をきっと責めていたのだと思います。今ではあまり気付かなくなりましたが、なくなったわけではありません。
そういう意識というのは陰に隠れて自分を必要以上に防衛しようとします。そうした自分を恥ずかしいと思っている昔の意識を今の自分がしっかり受け止めてあげることは大切なことだと思います。