ヒーロー願望

以前、近所の家の幼い男の子が外で独り遊びをしているときに、仮面ライダーか何かの真似をして変身するときのポーズを一生懸命やっているのを微笑ましく見ていたことがありました。

本人としてはいたって真面目に練習しているようなのです。彼には現実の周りの景色など見えてないのだろうなと思うくらいに打ち込んでいました。

特に男の子に多いのかもしれませんが、テレビ番組に出てくるヒーローになったつもりで自分が活躍しているところをイメージしているのでしょうね。

ヒーローはとても強く、勇敢に悪者に向かっていくし、本当の自分みたいに無力で弱虫ではないので思い切り羨望してしまうのです。

私も子供の頃は、正義の味方だという感覚を持っていたのを今でもはっきり覚えているくらいですから、子供の頃のヒーローへの憧れは相当なものだと言えると思います。

しかしこうした純粋な願望は、小学生の間の自我を形成する大切な時期に少しずつ薄らいでいくのが一般的なのです。

徐々に現実的な視点で物事を見る目が養われていくために、ヒーローのような極端な存在のことを忘れて現実でどうやったらいいかということに意識を切り替えていくのです。

ところが、こうした大人への変化がスムーズに行かなかった場合には、この幼い頃のヒーロー願望が大人になっても強く残ってしまうこともあります。

そうすると、妙に正義感が強くて融通の効かない大人になってしまうことになりがちです。プライドだけが高くて、傷つくことをとても恐れているような人です。

そのくせ、その心のセンターはとても幼いままなので、依存心も強いままに残っているので子供っぽい男性と見られてしまうかもしれません。

本人は大切な人や家族などを自分の力で守っているということに満足していたりしますので、身近な人達があまりに元気で活躍し過ぎると今度は不満な気持ちが出てきたりして、なかなか面倒な人というように思われることになります。

このような人たちが本当に求めているのは、幼い男の子がお母さんに求めている気持ちと全く同じなのです。もっと、分かって欲しい、自分を第一に見て欲しい、気持ちを受け止めて欲しいということです。

こうした心の内を理解してその願望を満たしてあげるように接することができると、元々ピュアな心の持ち主ですから、その人の本当の暖かさややさしさを使えるようになるはずです。

あなたの身近にヒーローさんがいるのでしたら、こういったことを分かったうえで、やさしいお母さん役を試してみてください。きっと二人の関係がよくなっていくはずです。

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