親子逆転

多くのクライアントさんの生い立ちなどを詳細にお聞きしていると、まるで親子が逆転しているかのようなケースが少なくありません。

何も分からぬ幼子を丸ごとしっかりと守って育てていくのが親の役目だと誰もが思っていますし、育てられる方の子供は親を信頼して甘えていく中で自分というものを育んでいくわけですね。

ところが、そうした大切な時期に子供の視点から親を見た場合に、その親が可愛そうに思えたり、怒りなどの感情の揺れが大きくて信頼できなかったりということがあると、子供は親に甘える代わりに親をかばおうとさえしてしまうのです。

特に敏感で感性が豊かな幼い子は、親の心の状態を肌で感じ取ってしまうために、親を心配の目で見るような癖がついてしまったりもします。

感情の揺れの激しい親は、気が立って突然怒りを無抵抗な子供にぶつけてしまったりすることがよくあり、それが子供からは恐怖に感じたり、親のことを子供っぽいとさえ感じたりしてしまうこともあるのです。

そうなると、子供は無邪気で自由な自己表現を抑えてしまうようになります。自己主張を抑える主な要素については、過去このブログでも何回となくお伝えしました。

一つは、相手を可愛そうと思うこと、そして相手を怖がること、そしてもう一つは、自分が悪いのだという自己嫌悪や罪悪感を感じること、この三つが主要な理由です。

そうした要素が重なってしまう場合も少なくありません。そうなると、子供は親に対する自己表現や感情表現などを無自覚のうちに抑えてしまいます。

このような育ち方をしてしまったことの「つけ」は、大抵大人になってからやってきます。子供のうちにしっかりやっておく必要のなることが、心の中に沈殿して思い残しとなって大人になってから出てきてしますのです。

そうなると、本人は大人のはずが、子供っぽい行動をしてみたり、感情に激しく翻弄させられたりといったことが起きてきます。

寂しさや欠乏感なども大きくて、何をやっても満たされた気がしないという状態になることもあるかもしれません。そのままでは不自由で生きるのが辛くなってしまうでしょうね。

どうしたらいいかというと、頑張って家族のために犠牲を強いてきてしまったインナーチャイルドを、子供らしい子供に育てなおしてあげる必要があるということです。

一人では難しいときには、セラピストの力を借りて癒していくことも考えることが必要かもしれません。そして子供の自分の無邪気さが戻ってきたら、その分だけ大人の自分が楽になっていくはずです。

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