私たち人間と、それ以外の動物との一番大きな違いは、自意識というものがあるかどうかということです。もちろん生まれたばかりの赤ちゃんにはまだそれがありませんから、ほかの動物と同じです。
しかし、正常に成長すれば3歳前後くらいから、自分がここにこうしているという自覚を持つようになります。そうやって、ようやく人間の仲間入りをするようになっていくのです。
この自意識が一旦出来上がると、この自分というものを失いたくないという強烈な思いも同時に出来上がってくるのです。
それが自分の身は自分で守らなければということに、ものすごいエネルギーを費やすようになる理由です。それこそが、死ぬことへの恐怖になるのです。
でもなぜ、自意識ができるとそれ自身を失いたくないと思うようになるのかは、本当のところ私には分かりません。とにかく、この自分という意識が消えることをひどく恐れるのです。
これこそが、生きることの苦悩のすべてといってもいいと思います。自分というものを失いたくないばっかりに、大変な無理を自分に強いるようになるからです。
具体的には、人から嫌われたくない、価値のある存在と思われたい、見捨てられたくない、愛されたいなど、すべてがこの自分がいなくなることへの恐れから来るのです。
誰もが寿命が尽きたら自分はいなくなると分かっているはずなのに、それまでの間だけでも、自分を失いたくなくて、考えられないくらいの我慢と努力をしてしまうのです。
しかしもしも、自分という意識は決してそれを失うことができないとしたらどうでしょうか?今までの努力は全部いらないということになります。
人としての自分はいずれその肉体を失うことにはなるのですが、本当の自分というものは元々生まれてもいないし死ぬこともないと分かったら、生き方が変わるはずです。
私は誰にとっても気づくことができる、本当の自分の姿というものを信頼してほしいと思います。真の自己は誰にでも気づくことが本当にできるのですから、それもごく簡単に。
このことに気づけたら、今の自分をもっと改善しようとして躍起になることもなくなっていくはずです。みなさんと一緒にそのことを分かち合っていきたいというのが最近の自分の願いです。