両親の内在化

心理学では、4歳くらいから5~6歳くらいまでの間を自我確立期というのですが、その時に両親の内在化というのをします。

それは、生まれてからずっと自分に関わってくれた両親に対しての、自分なりのデータベースを作るということであると言えます。

お母さんとはどういう人物であって、自分に対してこのように反応する、こういう場面ではこのように話すというように、今までの経験を元にしっかりとまとまりのある情報を心の中に打ち立てるということです。

なぜこのようなことをするかというと、あらかじめ親の情報を整理整頓しておくことによって、相手の行動を予測したりして、自分の身を守る手立てとして使うためなのです。

例えば自分がこうしたら、お母さんはきっとこのように怒るだろうから、しないようにするといったように、自分の言動に対して規制することで、リスク回避ができるわけです。

幼稚園の園児の頃に、こうして両親というものはこうなのだという確固としたものが出来上がってしまうということです。

この親の内在化による、自分への行動規制というものが厳しいものであると、それは当然不自由で生きづらい人生となってしまいます。

そして、その内在化したものは、子供が大人になっても心の中に歴然とあり続けることで、いつまでたっても心の中に住む親の束縛から逃れることができなくなってしまうのです。

こうしたことは多かれ少なかれ誰でも経験しているはずなのです。たとえ親元を遠く離れて異国で暮らしているとしても、親の内在化されたものはその人の心の中にあるため、いつでも本人を内側からコントロールしてしまいます。

実際の親はその頃の親とは違ってしまっているということがあったとしても、幼い頃に作り上げた情報にいつまでも翻弄されてしまうということが起きます。

両親の内在化されたものから本当に解放されるためには、内在化した自我確立期の頃の記憶を呼び戻して、まさに内在化しつつあるその現場をつぶさに見つめなおすことが必要です。

その作業は自分独りでも勿論可能ですが、できればプロのセラピストの手助けを利用することが得策ではないかと思います。

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