部分を見れば苦悩する

野生動物というのは、弱肉強食の世界で成り立っているのは、誰もがよく知っていることですね。ライオンが弱いシマウマの子供などを襲っているシーンは、テレビなどでよく見かけることができます。

その場面だけを見れば、あるいは襲われたシマウマの親の気持ちになってみれば、これ以上悲惨な出来事はありません。

ですが、シマウマがいなければライオンは飢え死にしてしまうかもしれないし、ライオンがいなくなってしまったら、シマウマの生態に変化が起きる可能性だってあります。

つまり野生動物の生態系全体を維持していくためには、そうした弱肉強食のメカニズムはなくてはならないものだということです。

全体のためにこの構成要素としての部分があると分かれば、個別に起きている一つひとつのシーンにいい悪いということはないと分かります。

同じようにして、全体としての宇宙の一部に銀河系があり、その一部に太陽系があって、我々の地球とはその部分であるわけです。

その地球の一部として人類がいて、その中の一人に「私」としての存在があります。もしも、私たちが全体を見ることを忘れなければ、苦悩はありません。

ところが、残念なことに「私」は、自分の人生のことにばかりいつも意識を集中させているために、苦悩が付きまとうことになってしまうのです。

それは、全体からすればほんの一部分だけをずっと見ていることになるからです。この間違いとは、実は全体を部分に分けることができるという妄想が基になっています。

真実は、全体を分割することはできないと分かれば、「私」とは全体の一部ではなくて全体そのものと融合していると知ることになります。

もっと言えば、全体の中に「私」がいるのではなくて、私が全体であることこそが真実だと気づくことです。覚醒した賢者は、共通してそのようなことを言っています。

本当の自己を感じるようにしていると、そのことが心の底から腑に落ちるようになります。騙されないことです。この世界は、私の内側に内包されていると気が付くことです。

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