あなたは、あなた自身を直接見たことがないという事実に気づいているでしょうか?あなたは、本当には自分自身のことを何も知らずに生きてきたのです。
私たちが自分を知る唯一の術とは、鏡に映った自分を見るということです。勿論、その鏡とはごく一般的な手鏡のようなものかもしれないし、他人という鏡かもしれません。
生後2~3年の間は、手鏡はそれほど意味を成しません。私たちは、周りにいる家族という鏡を通して、自分自身を知っていくことになるのです。
その鏡が理想的な鏡であればいいのですが、それは100%期待することはできません。なぜなら、人はみんな自我という色眼鏡を使って生きているため、彼らが映し出したあなたの像はひどくでっち上げられたものだからです。
そのまさしく歪んだ鏡に映された自分の像を、そのまま自分だと想い込んで成長していくことになるのです。それが、自己イメージなわけですね。
私たちは、その自己イメージを本当の自分だと思い込んでいるだけなのです。だから、他人を通した自分の姿以外を知らないと言ったのです。
もしも一度でもいいから、直接的に自分を見ることができたとしたら、どうなるでしょうか?その前に、どうやったら直接自分を見ることができるのでしょうか?
五感という知覚を通して自分自身を見ることは不可能ですね。知覚が機能するのは外側にある対象に対してだけだからです。
鏡に映るあなたとは、本当のあなたでないのは明白です。鏡には映らない自分を求めて、深く深く探っていくしか方法はなさそうです。
そしてそこには、誰もいない!ということを知ったとき、それこそがあなたの本質、あなた自身を直接体験していることになるのですね。