私たちは、何かを相手に伝えるときには、普通言葉を使います。言葉以外でも、表情や態度などで伝えることもできるのですが、圧倒的に言葉の割合が大きいのです。
言葉とは思考であるともいえるので、思考の範囲を超えたもの、例えば知覚や感情、あるいは真理などを言葉で伝えようとすれば、そこには明らかに無理があるのです。
私の感覚では、大切なことほど言葉で伝えるのが難しくなるのです。仮に、伝えたいと感じていることの70%が言葉にできたとします。
その言葉を受け取った相手が、その中の70%を言葉以外の何かで理解したとしても、結局のところ 0.7×0.7=0.49、つまり半分しか伝達できないということです。
それでも、半分も伝わるならいい方なのかもしれません。これほど言っても、相手に全く伝わらないのは一体どういうことなんだろう?と疑問に感じた経験は誰にでもあるはずです。
それが、幼い頃に経験した自分の親に対しての感覚だったとしたら、本人は自分の意志を伝えることはとても難しいことなのだと思い込むことになるでしょうね。
そして、分かってもらえないのなら、敢えて言うことをやめよう!となって、自己表現をしなくなってしまうのです。そうなったら、受け止めてもらうチャンスはもうありません。
セッションでは、何度も繰り返して同じことをクライアントさんに伝えるのですが、どの程度伝わるかはその時のクライアントさんの精神状態、あるいは癒された程度に左右されてしまいます。
言葉とは非力なものですが、それでも言葉を紡いで伝えることがなくなることはありません。少しでも多くのことが伝わるようにと、言葉を節約せずに使い続けることですね。