私たちが日頃感じている恐怖感というのは、本能的なものと心理的なものの二種類があるのです。本能的恐怖は、自我を持たない赤ちゃんや動物にもあるものです。
一方、心理的恐怖はマインドが作り出す恐怖のことです。つまり、物理的に危険な状態ではないかもしれないのに、マインドが勝手に恐怖心を生み出すことができるということ。
例えば、東京タワーの展望フロアの一部がガラス張りになっているところがあるのですが、そこを歩いても他の床の部分と同程度に安全であることは理解しているはずなのです。
それでも、下を見ればマインドが瞬時に危険だと判断を下すために、いきなり恐怖心でそこを歩くことができなくなったりするわけです。
勿論、心理的恐怖も生きる上ではとても必要なものではあるのですが、もしもそれが人一倍大きくて生き辛いと感じているのなら、ある程度は克服できるはずです。
先ほどの例で言えば、恐怖を充分に感じながら、繰り返しガラス張りの上を歩くということを自分に体験させてあげるのです。
そうすると、マインドはその経験を通して危険だという判断を取りやめるようになるため、恐怖を感じることが小さくなっていくのです。
幼い頃に、親に対して抱いていた恐怖心がマインドの奥底に残っていると、そのマインドは大人になって、親を連想させる相手に対して、不要な恐怖心を生み出すのです。
そのような場合にも、その相手から逃げずに、相手に対する恐怖を味わいながらも無事でいることで、徐々に心理的恐怖が小さくなっていくはずなのです。