不思議なことについて

 よく、科学で証明されているもの以外は信じないという人がいます。また、自分が実際に体験したこと以外は認めないという人もいます。しかし一方で、比較的どんなことでも信じることができるという人もいます。大別して、どちらかのタイプの人が正しくて、もう一方の人が間違っているというのは勿論ありませんが、どれだけ多くのものを受け入れられるかという点では異なっていると言えます。

 催眠術ショーのようなものをテレビ番組で見て、あんなものはあり得ないと思う人もいれば、不思議だけど信じるよと言う人もいるでしょう。テレビ番組で見るほど派手さはないですが、実際に催眠療法のセッションでも本当に不思議だと思うようなことが時々起こります。年齢退行のセッション中に、赤ちゃんの時の自分がベッドに仰向けに寝ながら見ている天井の節目の模様までがはっきりと見えたり、子どものときに誤って川に落ちて溺れているときのことを思い出して、本当に呼吸ができなくなって苦しむといったこととか、数え上げたらきりがありません。セラピストとしては、クライアントさんに何らかの癒しがあればいいので、信じる信じないという範疇の話ではないのですが、部外者の人にとってはそんなのでっち上げだよって思われるかもしれません。

 かつてユングが提唱したシンクロニシティというものがあります。簡単に言うと不思議な偶然の一致ということになります。ふとある人から電話がかかってくるような気がしたら、電話が鳴って出てみるとその人だったというようなことです。以前あるテレビ番組で見たのですが、一卵性双生児で産まれた二人が、産まれると同時に別々に育てられ、大人になって偶然にも再会したところ、二人が結婚したそれぞれの相手の名前と生年月日が一緒で、産まれた子どもにもまったく同じ名前をつけていた、というのがありました。

 もう大分前のことになりますが、朝目覚まし時計のベルの音で起きていた時のことです。とても不思議なことですが、自分が目を覚ました直後にベルが鳴るということが続いたことがありました。明らかにベルが鳴ってから起きるのではなく、覚えている感覚では目を覚ましてからほとんど1秒以内にベルが鳴り始めるのです。毎日同じ時間に起床していたので身体が覚えていてひとりでに目が覚めることは普通にありますから、目を覚まして数秒後にベルが鳴るというのでしたら不思議ではないのですが、ほとんど同時といってもいいくらいのタイムラグでしたので、気がついてからなぜだろうと不思議がっていたのを覚えています。しばらくして、その現象は起きなくなりました。

 これを書いていて思い出したのですが、セッションの予約をされたクライアントさんがいらして、一階の玄関のところにあるオートロックのボタンを押すと部屋のインターフォンが鳴るのですが、鳴る直前に身体がビクッとすることがあるのです。身体に走るその衝撃は非常に微細なものなので、何かをしているときには全く感知できませんし、いつもそれを感じるというのでもありませんが、それを感じた時には確実にインターフォンが鳴るのが分かるのです。実は、もう少し不思議なこともあって、クライアントさんが来られる時間近くになった時に、突然のようにこちらに向かっているクライアントさんの気持ち、例えば今日はあまり気乗りしないとか、遅れそうで焦ってるなどが伝わってくることがあります。これをシンクロニシティと言うかどうか定かではありませんが、このようなことを体験しています。

 勿論シンクロニシティは科学で実証されてるものではありませんが、自分で体験しているので頭から否定する気持ちもありません。身に起こることは身に起こることとして、ただそのことに気づいているという状態でいればいいのかもしれません。冒頭書いたように科学で証明されていること以外は、何かの間違いか気のせいだとしている方でも、最先端の科学ではもうすでに実証されてることでも知らないということが意外に多いのではないでしょうか。

 例えばアインシュタインが相対性理論を発表して100年近くたっていますが、その理論には我々が日常的に感覚としてもっている常識とは違ったことが立証されています。時間の進み方や物質の質量は、その物質の速度によって相対的に変化するというものです。重力によって空間は曲げられているというのもあります。時間は過去から未来に向かって普遍的に進むものと感じているのが人間ですし、空間が曲がると言われても直感的には理解しづらいです。でもそれが宇宙の姿なのです。

 相対性理論によって説明された宇宙の姿も、実は素粒子のような極微の世界では成り立たないことが分かりました。それは量子力学と呼ばれるまた別の研究によるものです。現在では、相対性理論と量子力学の両方を包含する統一理論の研究がなされているらしいですが、そのような最先端の宇宙論では宇宙は時間も含めると11次元であるとする理論が発表されています。我々が感知できる宇宙は時間も含めると4次元ですから、残りの7次元は極微の世界で丸め込まれて、我々には感知できないということらしいです。

 このようなものが宇宙の本当の姿だとしたら、我々人間の感覚では計り知れないことが起きても何も不思議ではないし、感知し得ないことの方がほとんどなのではないかとも言えそうです。そう考えてくると、科学で立証されてること以外はあり得ないとする心はあまりにも狭い考え方ではないかと思われてきます。上記した究極の統一理論では、宇宙にある4つの力、重力、電磁気力、強い力、弱い力を一つの理論で説明しようとするもので、これが立証されると宇宙の全てを説明できるとして期待されているようです。

 しかし、私はその理論も全てを説明できる理論ではないと感じています。私の身体や手のひらなどから何かの力が出ていることを毎日感じているからです。ヒーリングのセッションで、クライアントさんが倒れてきたり、クライアントさんの身体から何かが出てきて自分の手がすごく痛くなったりするのを毎日のように体験していると、人の意識の力の存在を物理的な存在として感じてしまいます。そういう第5の力もいずれは科学で解明されるときが来るのでしょうか。

 大切なことは何事も否定しないでそのままを受け止めるということだと思います。そんなことはあり得ないと拒絶する心の作用とは、それを受け入れると自分にとって何か都合が悪いと潜在意識で判断するからなのです。生きてきた土台となる信念だとか、自分が生きていていいとするためにすがり付いている何かの執着だとかが強いと、それを否定することになりそうな事柄や経験を拒絶しようとするのです。怖れによって自分を縛り付けている信念や、その怖れそのものを開放して、あるがままの自分を認める事ができるようになればなるほど、きっとより多くのものを受け入れられるようになるはずです。それになにより、拒絶するより受け入れる時の方が楽しいとは思いませんか。



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