人生は一人旅

 みなさんは『一人旅』という言葉からどんな旅をイメージするでしょうか?のんびりとした気楽な旅を連想する人がいるかもしれませんし、失恋の痛手を癒すための傷心旅行を思い描くかもしれません。どんな想像をするのかは、自分の人生を日頃どう感じているかということと関連するのかもしれません。それはなぜかというと、人生は一人旅であるということを我々は心のどこかで気づいているからです。もしも、一人旅は何かと危険だし、何から何まで自分で決めなければならないので、私は団体旅行の方が合ってると思うのでしたら、人生にも常に不安を感じて、人に決めてもらう方が楽だと思って生きているのかもしれません。

 逆に自分は一人で何でもできるし、一人でいても寂しくも何ともないから誰の世話にもならずに一人で生きていけると豪語する人がいるとしたら、その人は少し傲慢な考えを持っているかもしれません。人里はなれた山奥で、仙人のような生活をするというのでしたらまた別かもしれませんが、ほとんどの人がなんらかの形で自分以外の人のご厄介になっているのです。それは親に頼らなければ生きていけない弱い立場の子どものときだけではなく、大人になってからも同じなのです。人間は一人では生きていけない、これは紛れもない事実ですね。

 しかしだからと言って、人生という長旅が実は一人旅なのだということを忘れてはいけないのです。『旅は道連れ、世は情け』と言われるように、一緒に旅をする友人や家族がいてくれたら楽しさも倍増するかもしれませんが、それでも一人旅であることに違いはないということが分かるでしょうか。人生という旅は、本人が自分の学びのために最適な設計の基に計画して作られた長旅なのです。どんなに気持ちの通じ合う相手といえども、設計図は別々のものなのです。みんながそれぞれに固有の設計図を持って計画した旅を続けているということなのです。一人旅であることを忘れて、旅の途中で一緒になった人たちの学びと自分の人生の学びを混同してしまってはならないということです。

 一人旅ではとても寂しくて仕方がないからと、一緒に旅をしてくれる人を捜し求めることがあるかもしれません。しかし本当は一人旅だから孤独で寂しいということではないのです。孤独感は自分の心の問題であって、旅の道連れができたとしても本当には解消されることはありません。孤独というのは孤立を意味します。人は孤立してはやはり生きていけないのです。自分が一人でいるときに、ひとりぼっちと感じるのは、孤独感が強いからであって、逆に一人でいても心が満たされていればひとりぼっちとは感じないものなのです。従って、自分の孤独を旅の連れの人たちを使って埋め合わそうとするのは、自分の旅を真剣に見つめようとしないことになってしまいます。

 あなたは自分が計画した人生という一人旅をどのように感じながら毎日歩き続けているのでしょうか?こんな旅を計画した覚えなどないぞと思っている人が多いかもしれませんね。自分が計画した旅だというのなら、もっと楽しくて、何も悩むことのないようなばら色の人生を計画しているはずだと思われるかもしれません。もしあなたがそう感じているとしたら、自分の人生が楽しくない理由を、旅を一緒にしている周りの人たちのせいにしている可能性があるかもしれません。子どもの時は別として、大人である私たちは自分の一人旅を完全に自由に進めて行くことができると同時に、旅の責任を100%とらねばならないのです。つまり道を選択する100%の自由がある反面、道を間違ったとしても誰のせいにするわけにもいかないということです。それが一人旅というものなのです。

 人生こんなはずではなかった、こんな家族と共にイヤイヤ長い間歩む旅を続けてきてしまったと言って悔やんでいませんか?あるいは、あいつの人生と比べて随分と不公平な旅をさせられていると憤慨しているでしょうか。どちらの場合も、やはり一人旅をしているということを忘れている可能性が高いかもしれません。なぜなら、あなたは一人で旅をしているのですから、道連れになった家族と折り合いがつかなければ、違う道を選ぶこともいつでもできるはずだからです。勝手に二人旅だと勘違いしてしまうと、そこから様々な我慢や無理が生じてきてしまうのです。パートナーとの一緒の旅は、お互いの一人旅を共にしていると認識する必要があります。

 また、一人旅の基となった設計図や計画自体が一人ひとり全く別のものなのだということを思い返してみれば、自分の旅と人の旅を比べるということが全く意味のないことだと気づくはずです。自分の一人旅を精一杯すばらしいものにしようとするとき、人の旅と比較して不平を言ってる暇はなくなるはずです。運転手付きの豪華なリムジンで街から街を移動する旅をしている人もいれば、ヒッチハイクをしながらの貧乏旅行をしている人もいるかもしれません。そのどちらが学びが多いかということを比べることはできません。多くの友人を道連れに旅をしている人もいれば、一人で道を歩いている人もいるでしょう。どちらの場合もやはり本質的には一人旅であることに違いはないのです。

一人旅の利点というものを少し考えてみると、例えば誰かのために旅をしているのではなく、100%自分のための旅であるということが言えると思います。誰かに誘われて、あまり気が進まないけど断れずに何となく参加してしまった団体旅行とは明らかに違います。また、身軽で手かせ足かせがなく、思うままに自由に行動することもできます。いつでも自分の意思ひとつで計画を変えられるという気軽さもあるでしょう。勿論団体旅行には団体旅行の利点も沢山あるのだと思いますが、自分の人生を絶対に団体旅行と勘違いしないことです。

 毎日が一人旅であることをよくよく実感して再確認したうえで、自分が描いたこの人生という長旅を満喫していけばいいのです。そんな心の余裕を持って、一人旅を充分に楽しむことができる人こそが、結局他人の旅を暖かく見守ってあげられる人なのではないかと思うのです。そして自分の旅を満足して続けていけるからこそ、心から人の旅の手助けもしてあげられることになるのです。明日以降も続いていく自由な自分の一人旅を存分に味わって、充実したすばらしいものにしていきたいものです。



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