選択すること

 私たちは何気ない日々の生活の中で、本人が意識的にであろうと無意識的にであろうと何百回も何千回も選択をしながら生きているのです。場合によっては、自覚があるようなないような微妙な感覚の中で選択をしていることもあるかもしれません。はっきりと明示的に選択しようとする場合には、それを決意するというように表現することもできます。

 いずれにせよ、この選択をすることで電車に乗ったり、仕事をしたり、食事をしたりということを繰り返しているのです。しかし、物理的に何を選択するかということは、人生にとって大して重要ではないと言ったらどう思われるでしょうか?買い物に行ってどの服を選ぶか、節約して貯めたお金でどのクルマを買うかという選択、大学へ進学するのかしないのか、誰と結婚するのか、しないのか、マイホームを建てるのかどうか、こういった誰の目にも見えるような事柄の選択にはさして意味はないのです。

 大切なことは、そういった選択をする際にどんな心をベースとしているかということなのです。ベースとなるものは、はっきりと二種類しかありません。一つはエゴであり、もうひとつは愛なのです。エゴは罪悪感、恐怖、怒りなどを中心とした心であり、エゴと愛の両者は互いに対極にあるものです。一つの例をあげて、その違いを説明することにします。

 AさんとBさんの二人は、どちらも同じように何十年もの間、一生懸命にボランティア活動をしているとします。ここで目に見える選択というのは、ボランティア活動をするという選択です。仮に、Aさんはエゴの心でボランティア活動を続けるという選択をしており、Bさんは逆に愛の心でボランティア活動を続けているとします。

 両者の行動を外側からみている限りはその違いは分からないかもしれません。しかし、この二人の体験は全く違ったものなのです。Aさんはエゴの体験をし続けており、一方のBさんは愛の体験をし続けているということです。二人の体験は両極にあると言えます。Aさんの体験は本人の自覚があるかどうかは別として、辛く苦しいものであるはずです。

 エゴの選択と行動は必ず安心を求めるという特徴があるため、行為そのものに興味や関心がなくてもやり続けたりすることが多く、結果として自己犠牲を強いてしまったりして肉体的、あるいは精神的に苦しくなってしまうのです。一方、Bさんの体験は喜びに満ちたものとなっているのです。なぜなら、安心を求める代わりに、そうしたいからという愛の単純な理由でその行為をしているからです。

 上記のような選択の場合には、他人からだとそれがエゴベースなのか愛ベースなのかは一概には判断できません。自分でもどちらをベースとして選択しようとしているのか、あるいは選択したのかが分からないという場合も多々あるかもしれません。そういった場合には、ハイアーセルフに助けを求めて、なんらかのインスピレーションを得るのが得策かもしれません。

 結局、人生の中で最も重要な選択とは、エゴをベースとして物事を選択するのか、愛をベースとして選択するのかという二者択一の選択なのです。この選択は決意と呼んでもいいかもしれません。そして、このことをもっと突き詰めて考えてみると、本当の自分にできる唯一の選択とは、このエゴか愛かという二者択一の選択だけだということが分かってきます。

 それ以外の選択というのは、本当の自分に選ばれたエゴの自分、もしくは愛の自分が選択をしてくれるのです。例えば、本当の自分が愛を選択しているのなら、自分のことや他人のことをすべて赦すことができるはずなのです。なぜなら、愛は罪や裁くということとは無縁であるため、赦すという選択をするのです。しかし、幼い頃から気づかぬうちにエゴを選択し続けてきてしまった私たちは、簡単に赦すということができないのです。エゴが赦さないという選択をするからです。

 しかし、落胆する必要はありません。たとえ、99%エゴを選択してきたとしても、残りの1%は愛を選択しているのですから、その細々とした愛とのパイプを有効利用して、次第にそのパイプを太く育てていくようにすればいいのです。それには、愛を選択しようとする姿勢がとても大切になってきます。

 愛を選択するというはっきりとした選択は、99%のエゴの妨害にあってとても難しいのですが、愛を選択したいという姿勢の選択なら、1%の愛とのパイプでもできる可能性はあるのです。具体的には、例えば赦すという選択はできなくても、赦したいという姿勢の選択はできるかもしれないということです。

 つまり、自分は誰かを赦すということは99%のエゴによって、その選択は阻止されてしまうので、1%の愛によって微力ながら赦したいという姿勢のみを選択するのです。そして、あとは愛の存在であるハイアーセルフに委ねてしまうのです。こうすることで、今までは全く赦すことなどできなかったものが、ハイアーセルフの力によって少しずつ赦しの方向へシフトしていくことができるのです。

 そうなると、1%の愛とのつながり(選択)が自動的に5%、10%と増えていき、それによって、人生の中で愛の体験が増えていくことになるのです。その結果、より多く愛を選択することができるようになっていき、次第にエゴの人生、エゴの体験が少なくなっていくことになり、エゴが作り続けていた精神的、肉体的苦悩、ひいては分離からくる本質的な苦悩からも開放されるようになっていくのです。



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