かつてあるクライアントさんがセッションにいらして言うには、「実は素晴らしい本に出会ったんですよ。その本にね、こんないいことが書いてあって、ホント目から鱗でした~」と…。
その時私は、目から鱗ではなく目がテンになってしまったのを憶えています。というのも、そのことは何度も繰り返しセッションでお伝えしていることだったからです。
悪意がないのは分かっていたので、本当のことをお伝えすると、しばし??となってしまったのです。長くこの仕事をやっていると、こういうことはごく当り前になってしまっています。
元々、セッションでお伝えすることは限られた内容なので、セッションの度ごとに角度を変えて、言葉を変えて同じことをお伝えしているのです。
それは、分かったつもりでいても、そのような理解をもっと深めて欲しいと思っているからなのです。それは、決してクライアントさんの理解力の問題ではありません。
クライアントさんの中にあるエゴは、私の伝えるような内容を本人に理解されては困るために、あの手この手を使って本人が忘れるように仕向けるからなのです。
だから繰り返しによって、少しずつ理解を深めていくということが必要になることが多いのです。こうしたことは、勿論私自身についても同様に言えることで、それについてはっきりとした体験を何度もしています。
今朝ほども、思っていた以上に深まったある理解があるのですが、それは人生にはどんな目的地(ゴール)もないということ。このことは、自分の中でははっきりとした理解にすでに到達していると思い込んでいました。
けれども、今朝ある本を読んでいて、びっくりするほどに自分の奥深くへと入ったのです。その瞬間、何かが変わったのを実感しました。
どんなゴールもないということは、どんな期待もあり得ないし、未来も落ちてしまうということです。この言葉では、実体験を伝えることは不可能ですね。
分かったつもりで終わりにするのではなく、大切なことは繰り返し意識の上に持って来て、何度も理解を深めていくようにすることで、気づきがやってくるのですね。