人はいつも何かしないではいられない生き物です。忙し過ぎる生活を続ければ、のんびりと何もしないでいられたらいいのにと思うのも束の間、またすぐに何かをやり出したくなってしまいます。
あるクライアントさんが、あまりにも成果を出そうとして頑張り過ぎて、何をしても楽しめないということでしたので、じゃあとりあえずしばらく何もしないでいてみて下さい、そう伝えたのです。
すると、「なにもしないでいたら、私廃人になってしまいます。」と言うのです。気持ちは分かるのですが、それで廃人になることは決してないのです。
廃人というのは、実は欲望があるにもかかわらず、それをセメント詰めにして心の奥深くにしまい込んで、それを封印してしまったような人なのです。
本当に、心の底から徹底的に諦めて、どんな欲望も消えてしまったら、その時には廃人になる代わりに覚醒してしまうはずだからです。
何もしないでいたら、それこそ腐ってしまうと感じてる人もいるでしょうね。それならそれで、思い切り腐敗させてあげてみて下さい、できるものなら。
そうなったら、初めてあなたの奥深くに隠されていたあなたの本当の顔(本顔)が顕われることになるのです。だからこそ、何もせずにいることが、これほどまでに難しいのです。
子供の頃、近所の神社の境内に行って、銀杏を沢山取ってきたことがありました。それを土の中に埋めて一週間くらい待つと、外側の部分がいい具合に腐って、中からピカピカの銀杏が出て来るのです。
それをブロックで作った手製かまどで焼いて食べると、もう最高に美味しかったのを憶えています。それと同じように、何もせずにいることで、あなたの表層にあるエゴを腐敗させるのです。