どんな人であれ、まったく不満を抱えていないということはありません。不満を持たなければ、それだけ幸せな気分でいられると知っていても、やはり不満は消えないのです。
それは勿論困ったことではあるのですが、もっと困った事態というのがあるのですが、それは、本当は不満があるのにそれに気づかないでいることです。
なぜそれが最も問題となるかと言うと、本人が気づこうとしない不満が蓄積すると、その不満自体がその存在を知らしめようとして、何等かの形で表舞台に出て来るからです。
それは思ってもみなかったあらゆる形となって、本人を翻弄することになるのです。ところが、本人はその原因が隠している不満感からやってくることには、決して気づけないのです。
そうなると、その表面化した問題を解決する手段がなくなってしまうのです。だから、まず初めに大切なことは、どんな不満があろうとそれを隠さずにいるということ。
そもそもなぜ、不満を隠そうとしてしまうのかというと、その不満に気づいた状態のままでいると、自分がとても惨めな存在だと感じてしまうからなのです。
それは特に幼い子供にとっては絶えられないほどの苦痛なのです。だからこそ、本人もそれとは知らずに本当の不満、本音を抑圧してしまうわけです。
本当の不満を心の奥底に抑圧しつつ毎日を生きれば、何となくスッキリしないというのが常態化しても、人生なんてそんなものだろうと思って自分を慣らしてしまうことにもなるのです。
したがって、本当の不満に気づくこと、それこそが癒しの第一歩であると同時に、それができたなら癒しの半分くらいは進んだも同然なのです。
あとは、自分の惨めさから一切逃げることなく、その惨めさの下に隠された怒りや悲しみ、孤独感を徹底的に味わうことで、表面化した問題はおのずと小さくなっていくはずです。