人に何かをしてあげたい、という気持ちになったことがない人はきっといないはずです。助けてあげたい、安心させてあげたい、笑顔にしてあげたい等々。
人に対する優しい気持ち、温かい気持ちがそうさせるのかもしれませんね。けれども、それを純粋な愛と勘違いしてしまうと、いつかはこんなはずじゃなかったという事態になる可能性もあるのです。
そのような気持ちの原動力は、一口に言えば「欲」なのです。欲望が悪いということではないのですが、愛ではないということに気づいている必要はあるのです。
してあげている方の勘違いだけでなく、された方の勘違いも同時に起きてしまうと、それは愛ではなく欲望だったと気づいたときには、一方あるいは双方ともに傷つくことになるのです。
愛は具体的な何かをしたいとは思わないものです。愛は相手の存在に向かうものであって、それは助けようとかもっとよくしてあげようという欲とは無縁なのです。
愛のターゲットである存在は、助ける必要も改善する必要もないものだからです。愛はただ、その存在を受け容れることでしかありません。
勿論、溺れている人をそのままに見守るのが愛だということではありません。愛は思考を飛び越えて、反射的に何等かの行動を起こすことになるはずです。
「○○したい」という思いは、それがどんなことであれ欲望だという単純なことに気づけばいいのです。これって、分かるようでいて、なかなか分かりづらいものかもしれませんね。