私たちのマインドの中には、天使の部分と悪魔の部分の両方があるとよく言われますね。どんな善良な人であっても、心のどこかには悪意に満ちた部分が隠されているものです。
どれほどの極悪人であっても、優しい気持ちの部分を持っているのです。もちろん、その両方を持っているのが人間ですし、それを認めることは生きていくうえでの基本です。
ところで、善意と悪意のどちらがいいかと言われれば、当然善意の方がいいに決まっているのですが、ただし善意といえども、それを一方的に押し付けるのであれば、大問題なのです。
悪意を持って人を騙そうとか、相手を陥れようとすることは非常によろしくないことですが、私個人的には善意を押し付ける方がたちが悪いと思うのです。
理由はたった一つ。気付いているかいないか、つまり意識的かどうかという観点からすれば、たとえそれが善意であろうとも、相手の気持ちに無意識であれば悲惨なことになるからです。
善意の押し売り、押し付けをする人というのは、相手の気持ちはほぼ無視なのです。ただ自分の気持ちを最優先して、それが相手にとってはいいことだと思い込むのです。
だからこそたちが悪いし、決して直そうとはしないのです。善意の押し付けは、ある種の自己防衛から発生するのですが、それは内面を自閉することで達成します。
自閉することによって、都合の悪い相手の気持ちが分からなくなるため、罪悪感を感じることなく自分の気持ちを優先することが簡単にできてしまうのです。
親に善意の押し付けを繰り返されて育った子供は、非常に苦しむことになってしまいます。親に悪意がないことが分かっているだけに、悶々としてしまうからです。
そういう親の一つの特徴は、「言わなくても分かるはず」と勝手に思っていることです。だから、平気で相手に相談することもなく、良かれと思って独りよがりに事を進めてしまうのです。
そうやって育てられた子供は、あらゆる方法を使って、気持ちを分かってくれない親に反逆することになるのです。それが問題行動となるのですね。
言っても伝わらないので、仕方なく行動で訴えることになる、それが問題行動なのです。あなたの周りにも善意の押し付けを繰り返す人はきっといるはず。
気付いたら、接し方に気を付けることですね。言っても分からない相手なので、ホドホドに距離をとるか、それを承知でうまく付き合う方法を見つけることです。