思考が分割を生み出す

私たちは通常、全体というのは各部分を集めたものだと思っているのですが、それは真の全体性ではありません。

全体性というのは、決して部分の総和ではないのです。全体性とは分割することのできないものだからです。これとあれとそれをまとめたら全体になるというのは、思考がやっていることです。

思考によってあらゆるものが分割させられているのです。実在にはどんな分割もないのですが、思考の中ではそのことが分からないのです。

あのリンゴとそのリンゴというように見るとき、それはただ見ているのではなく思考を使ってあれとそれを分割しているのです。

それは真実ではないということを見抜くこと。そのためには、表面的にも内面的にも言葉を使わずに見る練習をすることです。

心の中でも完全なる無言の状態でただ見ることができるなら、あれとかそれといった分割が消えていくのが分かります。

目の前に広がる世界を、まるで一枚の絵を見るように一瞬にして全体を見るという方法も役に立ちます。絵のあの部分、この部分というように見ると、そこに思考があり時間が生まれるのです。

もしも分割がなければ、そこに時間が存在することは不可能となるのです。そのときには、どんな物語も消えて、ただ全体性だけが厳然と広がっているのです。

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