人と人との関係性あるいは係わり合いにおいて、基本となるものはすべての人は互いに対等であるということだと思います。
家族や職場の中でそれぞれの立場や役割というものが決まっている場合であっても、本質的には人と人とは全く平等であるわけです。
それが人間の尊厳というものかもしれません。その人がどんな生まれや育ちであったとしても、財産や学歴が違ったとしても人一人の価値というものに違いはないからです。
ところが、この当たり前の対等な関係というのを理解できていない場合が多くあるのです。それはやはり幼い頃の親との関係性に根ざしています。
親の心が見捨てられる恐怖を強く抱えていると、自分の子供に対して一人の人間としての見方をすることが難しくなってしまうのです。
そうした親は、子供を自分の一部のように感じてしまったり、場合によっては可愛いペットやお人形であるかのような扱いをしてしまったりするのです。
そのように育てられてしまうと、その子供は自分の人間としての価値や尊厳というものに気づくことができないままに成長せざるを得なくなってしまいます。
そうすると、成長して学校や職場などでの人間関係において、対等な関係性を築くことができなくなってしまう可能性が高くなります。
その傾向は人との結びつきが深くなればなるほど強くなっていきます。そして、自分自身に対して何らかの役割を与えて周囲の人との関係を築くのです。
その場合には勿論相手に対しても何らかの役割というものを無意識的に与えてしまうので、その役割を相手が充分に演じられないと不満が噴出することになります。
人と深くかかわるということはそういったことでしか成しえないと思ってしまっているということです。誰とでも対等でいるということは、何の役割も互いに与えられてない素の状態のままでいるということです。
自分の人間関係は対等な感覚があるかどうか、不思議な上下関係に支配されていないか、チェックしてみることは大切なことです。
そして対等さに欠けると思われることがあるのでしたら、幼い頃の親との関係を洗いなおしてその時の自分の生き方を見つめなおすことが必要です。