若い頃というのは、当然のことですが過去よりも未来の方がずっと長い時間があると感じていたので、考えることも未来の方へと向かいがちでした。
将来自分はどんな人間になっていくんだろうかとか、どんな仕事をするようになって、どのような人生を生きていくようになるのかなど…。
けれども、年齢を重ねて行くについれて、あまり未来のことについてあれこれ考えなくなるのですね。なぜなら、若い時よりも断然死が近くなっているからです。
それと勿論、概ね自分の人生の先もそれなりに見えてきてしまうからですね。大抵の予想がつくというのか、これから途方もない変化がやってくるとは考えにくくなるわけです。
人によっては、それはつまらないことなのではないかと感じてしまうかもしれませんが、私個人としてはとってもいい感じになってきているのです。
未来を見ない生き方こそ、自分が子供の頃から憧れていたものだったからです。小学校卒業の時の寄せ書きで書いたのが、「明日は明日の風が吹く」だったからです。
そうはいっても、若い頃はなかなかそれを実践することは難しかったのですが、今はそれが自然と身についてきています。それも、未来があまりにも少なくなってきたからだと思うのです。
年齢を重ねると本当にいいことがあります。「明日は明日の風が吹く」、ああいい気持ち!こんなにかる~い感覚になれたのも、この年齢になったからなのかなと。