成ることと在ること

私たちが生まれたばかりの時には、まだ誰でもありませんでした。全体と一つとして存在していたのです。このことは本当は死ぬまで変わりません。

ただ、名前が与えられ、自我ができてくると同時に誰かになるのです。自分というアイデンティティが思考によって作られるのです。

自分は他の誰とも違うという感覚がやってきて、それに乗っ取られてそれが普通になっていくわけです。

それでも学生のうちは、社会という基盤から見ればまだ何者でもない状態でいるのです。

社会の中で活躍し大勢から認められるようになるためには、私たちは何者かになっていく必要があるのです。

多くの人がそれを目指して社会の中へと入っていくのですが、これが自我の錯覚、思考の世界のことなのです。

本当は、決してどんなものにもなりはしないのです。思考を落としてそこに残るのは、ただ在るということ。

成るということに関しては、全てが思考の範疇に過ぎないのです。このことを深く、もっと深く理解することができたら、誰かに認めて欲しいという願望から解放されるはずです。