死と隣り合わせの物語

私たちは、本当に物語が大好きなのです。それが喜劇であろうと、悲劇であろうと、あるいはどんな感動物語であれです。

実際、物語に引き込まれてしまうという経験をしたことがないという人は一人としていないはずです。

自分の人生という物語では足りずに、自分以外の人たちの人生物語にも非常に興味を持ってみてしまうのです。

仮にそれが架空のものであってでもです。映画やテレビのドラマがなくならないのは、そういうことなのでしょうね。

またあらゆる種類の本についても同様です。それが歴史ものであれ、漫画であれ、とにかく人の人生が物語りを紡いでいくのを見て知って、それを疑似体験したいのです。

百歩譲って、たとえ人物が登場しなくても、たとえば地球の歴史や、宇宙の生い立ちなどについても同様にして興味津々な人も多いはずです。

私自身、セラピストの仕事をするようになって、本当に多くのクライアントさんの人生物語をご一緒に体験させていただくことができました。

それは六千回を越える回数のセッションを通して、さまざまな人生物語の深くに織り込まれた、クライアントさんの心の在りようを再体験するという経験です。

けれども、そうした物語のほとんどは自己防衛が中心テーマなのでした。そして、そうした物語をいくら生きても救いはないということも判明してしまいました。

これから先、願わくば自己防衛から開放された物語、しかも作り物ではない現実の物語に、自分が深く関わっていくことができたらいいなと思っています。

そのためには、きっと自分自身の物語を、死と隣り合わせの人生にシフトしていくことが必要なのだろうと思うのです。

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