距離ゼロで切り離す

意識を今に向けるということは、具体的にはどういうことなのかとよく聞かれます。方法があるかといえば、明確なものはないかもしれません。

ただし、それに近いニュアンスのやり方はあります。例えば、自分の思考に注意を向けていることで、過去と未来を行ったり来たりする防衛のための思考を緩めることができます。

それは、意識を今に置いておくことができるようになるはずですね。あるいは、何かをしようとすることの反対をするのです。

つまり、すべてをやめてみるということ。何もせずに、じっとしている瞬間を作るのです。何の目的もない心の状態は、やはり今にいることに通じるものがあります。

また、そっと耳を澄ますというやり方もあるかもしれません。耳を澄まして何かの音を聞くということではなく、ただただ耳を澄ましている状態でいるということ。

それは集中ではなく、今というサウンド(それは静寂さなのですが)に耳を澄ますと言うことです。こうしたことを試してみると、あらゆるものから自己が切り離されることに気づきます。

ただし、切り離されたとしても、それは距離ゼロの状態でのことなのです。他の表現をすれば、密着しているけれども、それそのものではないという感覚です。

それは、スクリーンと映像の関係のようなものだと思えばいいのです。映像は確かにスクリーン上に、つまりスクリーンとの距離ゼロで映しだされますが、スクリーン自体が映像になることはありませんね。

距離ゼロで切り離す視点を持つことができれば、私たちはあらゆるものをダイレクトに感じると同時に、何物からも傷つけられることはないと知ることになるのです。

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