誰かに、「具合が悪そうだね」と言われただけで、そんなことはないと思っていたとしても、何となく嫌な感じがしだしてしまった経験はないですか?
たとえば、朝起きて家族に「具合が悪いの?」と聞かれ、職場に行っても何度か同じようなことを言われ、夜友人にもまた言われたら、相当に具合が悪く感じるようになってしまうのです。
私たちは、そのくらい周りの人たちの言葉や反応に影響されやすいということです。きっと、それが自我が発生する最大の要因なのだろうと思うのです。
つまり、生まれてからずっと家族や周りの人たちからの、「○○ちゃんがここにいる」というエネルギー(思考)の波を浴びながら生きてきたのです。
その影響のせいで、知らず知らずのうちに、自ら自分の身体のあたりに「○○ちゃんがいる」という思考を作り出すことになるのです。
それによって、最初「○○ちゃん、お腹が空いた」から始まって、次第に「私、お腹が空いた」になって、めでたく自我の発生となっていくわけです。
赤ちゃんのうちに山に捨てられて、奇跡的にオオカミに育てられた少年少女がかつて発見された話しは、このブログでも何度か取り上げたことがありました。
彼らは、発見されたときには、自我を持っていませんでした。それは、私たちのように自我を持っている親のエネルギー(あなたがここにいるという思考)を浴びることがなかったからです。
結局、自分が居ない状態から始まって、自分がいるという思考を作り出して自我を作ってしまうことは、誰にとっても避けることのできないことだったのですね。
自我を作ることができなければ、この社会で生きていくことは不可能なことですから、それはそれでよかったのですが、その代償はあまりにも大きな苦悩だったわけです。
それを真正面から逃げずに見ることができる人は、おのずと真理の探究へと進んで行くことになるかもしれません。気づいた人は、もがき苦しみながらもそのような人生を送ることになる可能性があるということです。