インナーチャイルドの意識

数え切れないほどの催眠療法をやってきて、本当によく分かったことがあります。それは、インナーチャイルドとか、幼い頃の意識とかがそのまま残っているということがありありとした事実だということです。

ある瞬間に現在の大人の本人の意識から、子供の頃の意識へチェンジすることがあります。それは大抵感情を伴った場面で起きるのです。

それまで子供の頃のことを大人の自分が回想しているという状態だったのが、急に主観としての子供の自分に戻ってしまうのです。

そうなると、大人の自分の意識ではとても説明できないようなかつての幼かったあのときの自分の気持ちが克明に蘇ってくるのです。

その気持ちが自分を支配することを大人の自分が許してあげていると、その子は長い間出現して当時のそのままの感情を表現してくれます。

それは当時の自分が抑圧して、我慢して表面に出さないでいた本音や感情が出てきてくれるのです。長い間封印していた都合の悪い自分の気持ちが表出するのです。

ですから、それはもうなんとも言えない快感があるのです。数十年に渡る便秘が解消されたような、すっきりとしたいい気持ちになれるのです。

抑圧していたそういう本音や感情を解放してしまうと、それまで理由がわからないままに悩んでいた様々な問題が知らず知らずのうちに解決してしまうことがよくあります。

それは、考えてみれば当たり前のことなのですが、満たされていない不満だらけの思いを表面化することで訴えていたエネルギーがある程度沈静化するからなのです。

分かってあげる、受け止めてあげるということがこれほど効果があるものなのかとびっくりするほどです。

自分の心の奥深くに抑圧してしまった本音や感情を表面化してあげるだけで、しつこく自分を悩ませていたいろいろな症状が緩和されたり、治ってしまったりするということがあるのは不思議なことではないのです。