自己像

人は生まれてから少しずつ成長するにつれて、自分とはこういう人物なんだということを自分に教え込んでいきます。その内容のほとんどは、人が自分をどう見ているかというところに由来しています。

特に幼いうちは、大抵が親などの身近な大人たちによって、お前はこういう奴だということを刷り込まれていくことになります。

子供は自分自身では自分をどう見るかということがうまくできないために、親の言うことを丸ごと信じてしまう可能性が高いのです。

そうやって、自己像というものの基礎が作り上げられていくのです。この自己像というものがなかなかクセモノであって、それに翻弄されてしまうことも多々あるのです。

それというのも、場合によっては本当の自分の好みとは違うものを好む自己像が出来上がってしまっている場合すらあるからです。

本人の生まれ持った個性や特性とは違ったものを持つ自己像が作られてしまうと、幼いうちは自覚できないでいるとしても、いずれはさまざまな心の障害が露呈してきます。

それは、いつも心のどこかに得体の知れない不安感や満たされないような強い思いというものがくすぶって、その理由すらわからずに悶々とすることになります。

そしていつか、それは火山の噴火のように爆発することになってしまいます。そのときに初めて、本当の本人の姿というものが表面に出てくることになります。

それは長い間、無意識的に心の奥底に抑え込まれて隠されていた素の自分の姿であり、その存在と対面することは本人の人生にとって奇跡的な衝撃があるかもしれません。

一度は自分の自己像を疑ってみても悪いことではないと思います。そして、その中心にいる自分のイメージが本当の自分の姿をちゃんと表しているかどうか、チェックしてみることです。

自分はこんな仕事が適している、こういうことをやっていきたいと願っている、でもそれは自己像がそう訴えているだけで、本当の自分は違うかもしれないというようなことですね。

本来の自分が自分らしく生きることができなければ、何をしたとしても決して満足することはできないはずです。作られた自分では幸せになれないということですね。

何にもとらわれないまっさらな気持ちで、自己像を再度見つめてみることは自分の人生をよりよくする大きなチャンスにもなると思います。
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