マインドのウソを暴く

人間のマインドのもっとも優れた特技は、自分自身を欺くことができるという才能です。自分にウソをついて、その状態でいつまでも騙し続けるのですから、非凡な能力と言わざるを得ません。

騙すのもマインドであり、騙されるのもマインドなのですから、不思議な感じがしませんか?その騙すテクニックは相当に優れているようで、一生涯それに気づくことがないのです。

私たちが人生で真っ先に騙されたこと、それが「自分という個人がここにいる」ということ。その思い込みたるや、どれほど真実を見ようとしても見させてはもらえません。

だって自分はこうしてここにいるじゃないか!、という感覚が圧倒的過ぎて、騙されているなどとは微塵も感じられないのです。どうしても嘘を見抜けない。

もう一つの絶大な騙しとは、それは自分が「人生を生きている」という思い。まず、初めに自分を存在させて、その後に人生という物語をでっち上げる。

そして自分をその主人公に仕立て上げてしまったのです。そのすべてが完璧すぎて、疑う余地など全く残されていないかのような見事な腕前。

でもね、完全犯罪というのはやっぱりないのかもしれません。なぜなら、いたって平凡な私のような人間が、こうしてマインドを疑ってかかっているのですから。ドッキリじゃないのか?って。

どうもおかしい、騙されているに違いないという直感が働くのです。マインドが使う騙しのテクニックのベースは、信じるという機能。深く信じてしまえば、騙されていることに気づくことができなくなるのです。

この深く信じること、これこそが信念です。だから、信念とはとても危険なものだと認識する必要があるのです。あらゆる信念を一度白紙に戻すことです。

信じることをすべてやめることにしましょう。そうして、最初の最初からやり直すのです。信じることも信じないこともやめたとき、自分は何も知らなかったと気づくはず。

本当に知っていることは信じることができないのですから。何も信じなければ、もうマインドは自分を欺く能力を失ったも同然なのです。

そして、ウソが暴かれたとき、マインドはもたないでしょう。なぜなら、そのウソ自体がマインドそのものの正体なのですから。