不安がないのも不安の要因

私たちはいつも、何らかの不安要素や解決すべき問題を抱えています。これさえこうなってくれたら、あれが片付いたら、この病気、この怪我が治ったら、等々。

とにかく今は途中であって、それには必ず終わりが来ると思っているのです。けれども、その終わりは、また別の懸案事項の始まりでもあるのです。

そうやって、エンドレスにいつもいつも何がしかの処理すべきお題目を持っているのです。そしてそれが解決される未来を見つめていきているのです。

そんなことを延々繰り返していてようやく気づく時がやってきます。ああ、不安を解決したらまた別の不安がやってくるし、不安がないことが不安になるのだと。

人生はどこかに向かっているように見えて、その実どこへも到達するところなどないのです。言って見れば、円周をグルグル回り続けているようなもの。

今この瞬間に満たされていないからこそ、未来への期待を捨てることができないのです。でも、もう未来も今の延長でしかないということを、しっかり受け容れることです。

歳を重ねてくると、そのことがより明確になってきますが、まだ若いうちは難しいかもしれないですね。唯一、思考が停止したときだけ、その円環からはずれてそれを見る側になれるのです。