ゴールデンはつまらない

あれほど依存していたテレビから、どうしたわけか最近抜け出した生活を送るようになりました。テレビは以前として大好きですが、その時間を他の目的のために使うほうが快適だということに気づいたからです。

それでも自分にとっては、人生のほとんどをテレビに捧げてきたようなものですので、テレビ番組へのこだわりが今だに少し残っています。

子供のころは別として、大人になってからは好みの番組は大抵深夜に放送されていました。今考えると、それは多分製作する側がある意味捨て身で作っているという感じが伝わってくるからだと思います。

テレビ局側としても、深夜の番組であればゴールデンタイムの番組に比べて、視聴率が著しく低いため、失敗してもダメージがあまりないという理由なのでしょうね。

作りたい人が危険を犯して本当にやりたいことをやってみる、そういった色合いが深夜番組には息づいていました。

それはリスク回避をせずにどんどん体当たり的にやっていく、無防備さとでもいうものがあって本当に面白いと思えるものが出来上がったりするわけです。

ところが、視聴率を稼がねばならないゴールデンタイムの番組は、絶対に失敗は許されません。テレビ局の経営に直接大きな影響を与えることになってしまうからです。

そのために、計算し尽された誰にでも無難で面白い、多くの視聴率を予想できる番組作りをすることになります。

国民の平均値の期待に応えるような番組になってしまうため、自分としては興味を持って見ることができなくなる傾向にありました。

大好きな深夜番組の人気が出てくると、残念ながらゴールデンに進出して、その責任に潰されて結局つまらない番組になってしまうのを何度も見てきました。

それは何となくドキッと心に入ってくるような新鮮さがなくなってしまうし、作り物ではない意外性のようなものも消えてしまうのです。

防衛とはそういうものですね。何につけ奥深い魅力がなくなってしまうのです。それは人の場合でも同じこと、無防備な人のほうが愛に満ちてやさしい魅力を放っているのです。