規則を決めない

今回の大震災のような出来事に遭遇したなら、自分はどういう行動をとることが一番いいのかということについて、日頃から準備しておくことはとても大切なことですね。

それは国のレベルにおいても、そして個人のレベルにおいてもいえることです。危機管理の体制をあらかじめ構築しておくことも有効です。

こうなったらこうする、こういう事態にはこう対処する、などのように具体的に互いに申し合わせをしておくこともとても大事なことです。

しかし最も大切なことは、本当に必要な行動とはその瞬間になるまで決めることはできないということにも気づいていることです。

大した事例にはなりませんが、例えば私が講座やセミナーをするときに、ある程度は事前にこんなことを伝えようと準備しておくのですが、いざその場になると内容が変わってしまいます。

勿論無理して、準備した内容を堅持することもできるのですが、それはどうも効率が悪いしその瞬間に最も適した内容ではないと感じてしまうのです。

だからといって、準備作業がまったく必要ないということではなく、逆に準備しておいたほうが悠然と内容をその状況に合わせて変えることができるような気がします。

私たちはいろいろ分かっているように思えても、実際この世界で何が起こり、自分は何をすべきかなど何一つとして分かってはいないのです。

その瞬間になるまで、どんなことを選択しどう行動することが一番いいのかということは、決して誰にも分からないようにできています。

自分がある状況で何をするべきか、規則を決めないということです。機会がやってきたときに、自分の本質を見て、そして自分が何をするべきなのかを「発見」することです。

そうした態度こそが、謙虚にその状況を見て、真の自己からの情報をその都度受け取る生き方につながるものではないかと思うのです。