思考の虜にならない

私たちが普段、如何に思考に囚われているかということについて、少し書いてみようと思いますね。

仮に、あなたの目の前に一本の白いバラと、もう一本の赤いバラがあるとします。この白いバラと赤いバラの色が違うことは、誰にでも分かる当たり前の事実ですね。

けれども、「この二本のバラの色は違う」と思った瞬間、それは思考なのです。いやいや、自分がそう思っても思わなくても、それは事実だと感じるはずですね。

しかし、同じとか違うということは比較であって、比較は思考の中でしかすることができないものです。思考の外にでたら、二つのバラの色が違うということは、消えてしまうのです。

勿論同じ色だというわけでもなく、ただそうした事実が消えるということです。もっと言えば、ここに二本のバラがあるということすら、思考によるものです。思考の外に出ると、バラというものが消えてしまうのですから。

こうしたことが分からないと、あるがままを見るということを本当には理解することができないことになるのです。

もしもあなたが、バラという言葉を使わなかったとしても、この花は何て綺麗なんだろう!と思った瞬間に、思考の中に入ったことになるのです。

その綺麗という感覚を、そのままにハートで感じているだけであれば問題ないのですが、綺麗だと思った瞬間、ハートからマインドへと移ってしまうということです。

たとえば、今あなたの周りにあるものを、ただただ見てみて下さい。もしもあなたが部屋の中にいるのなら、壁があったり、机やベッドなどが見えるでしょう。

けれども、そのように一旦確認してしまえば、もうすでに思考の虜になっていることになるのです。コツは、「ただ」見るのです。

その練習をすることです。ただし、ボーっとするということではありません。その逆に、見ている自分をしっかりと意識することです。

しつこい思考はそうやって、落としていくことができるのです。その先には、何も無さである虚空としての自己があるのですね。