相反する二つの欲望

私たち人間は、相反する二つの欲望を持っているのです。その二つを決して同時に満たすことができないがために、人は様々に苦悩するのです。

その一つ目の欲望とは、真実に辿り着きたいというものです。言葉を変えれば、本当の自分、真実の自分とは何なのかを知りたいということ。

そしてもう一つの欲望とは、消えたくない、死にたくないというものです。自分という存在が消えてなくなってしまうことを考えると、激しい恐怖に見舞われるからです。

ところで、この二つの欲望がどうして相反するものなのか、そのことについて説明してみますね。たとえば、あなたが太陽のことが大好きで、その太陽をハグしたいと思っているとします。

ハグするためには、太陽に向かってドンドン近づいていくことになりますが、当然のことですがハグする前にその高熱によって、あなたは溶けて跡形もなくなってしまうでしょうね。

その光景をイメージしてみて下さい。それと同じことが先の二つの欲望同士にも起こるのです。つまり、あなたが真実に近づけば近づくほど、あなたの存在が曖昧になるということ。

真実は思考を持ったままでは近づいていけないからです。そして、とうとう真実の扉のすぐそばまで到達したとき、思考で出来上がっているあなたは消えて行くことになるのです。

あなたというエゴそのものが、真実への道を閉ざしていた唯一のものだったからです。太陽に近づきすぎて、あなたが溶解して消滅したそのときに、あなたは自分こそが太陽だったと知ることになるのです。

これ以上に皮肉なことはありませんね!