溜めずに生きる

死への恐れというのは、それまで溜め込んだものを奪われてしまうということにあるのです。溜め込んだものへの執着が強ければ、それだけ死の恐怖は強大なものとなってしまいます。

その反対に、何も溜めずにいて、何も所有するものがない状態であれば、失うものがないために死への恐れは非常に小さくなるはずです。

私たちがまず初めに溜め込み出したのは、自己イメージです。それは周りの人が投げてきたその人の印象でしかなかったのですが、それをそのまま受け取り続けて、溜め込んできたのです。

その自己イメージが否定的なものであればあるほど、肯定的なものへと変えようとして、足りないところを外側から手に入れることで補おうとするのです。

そうやって、あらゆるものを溜め込む人生がスタートします。不安が強ければ強いほど、人はモノやお金、あるいは実績や誰かの評価を溜め込むのです。

過去の経験も全部溜め込んで自分の財産にしてしまうのです。それは重くて身動きが取れずに、不自由な人生を作り続けていることになるのに、一過性の安心のために溜め続けてしまうのです。

あなたが何かを所有しているという幻想を見抜くことです。何かを所有するということ自体が不可能なことだと。それが深く理解できれば、溜め込む人生からおさらばできます。

何も溜めずに、常に手ぶらでいること。どんな過去もゴミとして捨ててしまうのです。そうして何者でもない自分、ただ在る自己としていれば、死への恐れもどこかへ行ってしまうでしょう。