マインドが到達できない唯一の場所

父親が一人で外出できなくなってから、1,2年経ったでしょうか。足腰が弱って来たので、自宅の中でしか一人では歩けなくなったのです。

それはまるで、ヨチヨチ歩きしかできなかった幼い頃に戻ったようなものですね。考えてみれば、生まれてから成長するにつれて、行動範囲がどんどんと広がって行くわけです。

小学生くらいになると、乗り物を使えるようになって行動範囲は飛躍的に広がって、高校生にもなると基本的にはどこへでも行けるくらいになりますね。

大人になって、海外に出張するようになれば、地球上のあらゆる場所にまで行動範囲が広がるのです。家の中をヨチヨチ歩いていた頃からすれば、飛躍的な拡大です。

宇宙飛行士にでもなれば、月以外にも他の惑星にまで足を延ばせる時代がもうすぐそこまでやってきてますね。人類は一体どこまで活動範囲を広げるようになるのか、楽しみでもあります。

ところが、一般的な人間としての成長がどれほど進んでも、また科学がどれほど進歩しても、まったく到達することのできない場所があるのです。

それは私たちの自己の中心とでも言えばいいのか、自分にもっとも近い、距離ゼロのくせに決して辿り着くことのできない地点があるのです。

そこにマインドとともに赴くことは不可能なことです。なぜなら、マインドは虚偽であり、自己の存在は真実だからです。マインドと自己同化している限りは、決して行かれないということですね。

マインドとの距離を感じられるように、常に意識的である必要があるということです。この私を置き去りにして、自己の中心で、本当の自己と出会って融け合えることを願って…。