希望も絶望もない

歳を重ねてみて、分かることがあります。きっと若いうちは頑張っても気づくことができないことがあるのですね。

若い頃というのは、人生はまだまだこれからと思っています。だから、希望があるのです。今はこうでも、きっと未来にはこうなっているに違いない。

希望を信じて、それに向かって生きることは、人生の支えになるのです。私たちの毎日は希望によって下支えされているということです。

ところが、長く生きて人生の終わりが透けて見えるようになってくると、そろそろ希望を持つことが難しくなってきます。

そして、希望を叶えたところで、期待していたようなことにはならないことを知ってしまうのです。

要するに、願いが叶っても結局は満たされることはないということ。この気づきが年齢を重ねてきた今の一番の大切な気づきかもしれません。

希望を持つことができなくなるといっても、若い頃のように希望の反対である絶望がやってくるということとは違うのです。

希望も絶望もどちらもなくなるのです。過去を思い出すことも、未来を思い描くことも無くなるわけではないですが、その頻度が激減します。

今日一日くらいがちょうど自分が生きている視野の範囲になってくるのです。今日に焦点が当たっている感じですね。

それが更に進んで、今この瞬間だけに生きていられるようになれたら、それはもう理想ですね。