「それ」に気づく

心を静かにして、しばし自分を見つめていると、「それ」が在ることに気づいてくる。「それ」は、とてもとても大きな存在であり、敢えてイメージすれば静寂のなかで座禅をしている感じ。

しかし、もっと正確に表現すれば「それ」自体が静寂そのものだとも言える。その大いなる静寂というバックグラウンドに支えられて、自分はあらゆる音を聞くことが出来る。

私の声、外の騒音、鳥のさえずり声も、すべてはその静寂のなかで起きることだと分かる。「それ」のイメージは完全な透明性とも言える。

透明で形も大きさも何もない。だからこそ、自分は形や色によって出来ているこの世界を見ることができるのだ。

大きさのあるこの世界や自分を感じられるのは、「それ」が無限の大きさでこの自分や宇宙を支えているからだと分かる。

時間があらゆる物事を起こし、空間があらゆる物質を存在させるが、そのどちらもが、「それ」によって支えられていることを感じる。「それ」は時間や空間をも包んでいるから。

生まれてからずっと一緒にいてくれたもの、「それ」はもう一つの表現として、「今」という言葉で表すこともできる。

だから、「今」は静寂であり、透明で無限の「それ」と同義語だ。いつも「今」だけが自分を支えてくれている。過去と未来は一度たりとも自分と一緒だったことはない。

心が思考や感情に支配されて、過去や未来へと漂っているときでさえ、その自分を支えているのは「今」に違いない。

「それ」は誰もが感じることができるもの。もしも、分からないなら、もう少し心を静かにして、ずっと自分に寄り添ってくれている「それ」を感じるようにすればいい。

そして、「それ」こそが本当の本当の自分そのものだということに気づけばいい。 「それ」は、あなたのものでもあり、あなた自身でもあるのだから。