幼い頃のルール その2

赤ちゃんは産まれたその時には何のルールも持っていません。ただお腹がすいたら泣くし、眠くなったら寝るというだけです。

ところが、2、3歳くらいになるまでに親との関係において、様々なことを学習していきます。そして、こうしたルールを守って生きていれば安全を保てるというルールを作っていきます。

もしもそのルールを守ることができなければ、危険度が増してしまうので怖い思いや不安になってしまうため何とかそれを守ろうとします。

ただ子供の個性と親との関係性によって、その恐怖を感じる強さというものが変わってきます。そして、ルールを守れなかったときの恐怖が強すぎると、当然のことながらそのルールを死守しようとします。

例えば、もしも自分がこんなことをしたら確実に親からそれは死刑に匹敵するぞと言われると固く信じたとしたら、それを絶対にしてはならないというルールを死守しようとするわけです。

通常は、大人になるにつれてそうした幼い頃に作ったルールを守らなくても、自分は安全でいられるということに気づいていくのです。

しかし、恐怖心が強かったり、純粋な心が大きすぎたりすると疑うということを知らないで成長してしまうために、いつまでたってもそのルールに縛られて生きていくことになってしまいます。

そうなってしまうと、大人の自分は自分の言動に不可解なものを意識するようになるはずです。なぜなら、大人の理性ではこうするはずと思っているのに、自分はそれとは全く違う言動をし続けてしまうからです。

その不可解な自分の言動こそ、幼い頃に作った安全を得るためのルールを死守しようとする自分の言動なわけです。

そしてそうした人生が長くなればなるほど、そのルールを破ることが怖くもなってきます。また驚くべきことに、そのルールは今や意味をなさないと気づいてしまうことこそが、本人にとっての最大の恐怖となってしまうのです。

なぜなら、命がけでそのルールを守ってきたその努力がすべて意味をなさなくなってしまうことになるからです。数十年の涙ぐましい努力が全部無駄だったと言われて、はいそうですかと簡単には受け止められないのです。

自分の中にまだまだある様々なルールをよく見つめてみて、いまだにそれに固く縛られているとしたら、こうしたことを疑ってみる必要があると思います。