あがり症

人前で何かをしないといけないような時とか、恥ずかしい思いをしたりすると頬が赤くなったりすることがありますね。

それを他人から指摘されたり、自分でも気づいたりすると益々恥ずかしくなってもっと顔を赤らめてしまうことになります。

おとなしい内気な女の子などによくあることですね。私はまだ小学生の頃にそういった顔を赤くする極端な経験をしたことがあります。

床屋さんに行った時に、いつもだったら大して意識することもないはずだったのに、その日はなんだかきれいな大人のお姉さんに散髪してもらっていたのです。

思春期直前くらいの時期だったからなのか、髪を切ってくれているそのおねえさんが自分のすぐそばにいて、じっと自分の頭を凝視している姿を正面の鏡越しに見ていた時でした。

なんだか急に恥ずかしいような感じがしてきたと思ったら、鏡に映る自分の顔がやや赤くなってきたのです。そのことをおねえさんに知られたくないと思ったら、更に赤くなってしまったのです。

そしてまた更にそれを確認してという具合に悪循環となって、これ以上赤くなれないというくらいに真っ赤になってしまいました。

きっとおねえさんもどうしたのだろうとびっくりしたはずです。でも、行き着くところまで行ってしまったと思ったら、徐々に回復していきました。

その体験は本当にびっくりするもので、しばらくは自分がどうなってしまったのだろうと呆然としていたのを覚えています。

そしてそのことはしばらく忘れていたのですが、次に床屋さんに行った時に思い出してしまいました。またなってしまったら困ると思いつつ鏡の前にすわったところ、前回と全く同じような状態になってしまいました。

今思うと軽いパニック障害のような感じだったかもしれません。一度顔が真っ赤にまでなってしまって、もう取り繕いようがないなと思うと不思議に治ってしまうのです。

それ以来またそうなったらどうしようという、予期不安を感じたのも覚えています。その時に自分であみ出した解決法が、事前の深い呼吸法でした。

前もって鼻から深く息をゆっくり吐き出すのを何度か繰り返しておくと、心がリラックスして大丈夫になることを体得したのです。

それ以降はそういった症状を起こすことはなくなってしまいました。こうしたことを起こすからくりというのは、大人のパニック障害と似たものではないかと思います。

症状が軽いものですと、そうしたリラックス法程度で解決することができますが、それで解決しない場合には心の癒しが必要だと思います。

相手に自分は許してもらえるという気持ちになることが、症状から脱出するのにとても有効なのです。そういった無防備に近い感覚は、癒しを進めていくことで実感できるものなのです。