内面の成長を支えるのは「満足」

ハングリー精神という言葉がありますね。経済的に何ら不自由のない金持ちのボンボンが、ボクサーの世界チャンピオンになったという話しは聞いたことがありません。

足りないという想い、絶対金持ちになってやるという強力なハングリー精神があったからこそ、激しい練習に耐えてチャンピオンとなることができたのです。

つまり原動力は「不満足」さなのです。我々がよく知っている向上心も、元をただせばこの「不満足」さにあるのです。今のままではいやだという強い想いが、外側の成功へと導く力となるのです。

自分はこんなものではない、もっともっと可能性があるのだから、未来へ向けて頑張っていこうというのが向上心であり、そういう前向きの気持ちがそれなりの努力となって、願いを叶えることになるわけです。

けれども、ここで注意が必要なのは、「不満足」という原動力は、私たちの外側の成長を支えるものだということです。他人から見て、どれだけのことができる人なのか、目に見える成果についての成長のことを言っているのです。

一方で、もしも内側の成長に対して、「不満足」を使うとするなら、決して成功することはありません。もっと自分の人格を磨きたいとか、より崇高な魂の持ち主へと成長したいと願っても、必ず失敗します。

残念ですが、「不満足」のエネルギーは、外側の成長にのみ有効だということです。そればかりか、「不満足」さは内面の成長を阻害することにしかならないのです。

「不満足」さは、自我からやってくるものだからです。もしもあなたが社会で成功者としての地位を確立したいと思うのなら、「不満足」さを徹底的に使い切ることです。

けれども、もしもあなたが内面の究極に到達したいのなら、「満足」が心の中になければならないのです。心を静かにして、何もしないでいることが心地よいなら、あなたはそのことに満足している証拠です。

そこがカギなのです。この場合の「満足」とは、具体的な何かの結果からやってくるものではありません。「満足」とは、自分の全体性と闘わないということなのです。

全体が自分を通して体験したいと思っていることを、あるがままにそのままにさせてあげるということです。それこそが、「満足」であることです。

そして、それだけがあなたを全体性へと導くことになるのです。