想い残しがないか振り返る

子供の頃に、早く一人前の大人になりたいと思っている子もいれば、大人になるのは嫌だ、いつまでも何の責任もない子供のままでいたいと思っている子もいるのです。

そのどちらにも実は問題があるのです。そもそもが、そのどちらの子供の場合も未来に意識が向いているということです。本来、子供は過去や未来のことよりも、今日楽しむことに精一杯でいるのが健康な証拠なのです。

早く大人になりたいという気持ちも、いつまでも子供でいたいというのも両方とも、現状に満足していないと言えるのです。

たとえば、早く立派な大人になりたいと思う子供の場合、それは自分のことは何でも自分でやれるようになりたいと思っているのですが、その理由は次のような場合があるのです。

年齢相応の子供のように、親や周囲に甘えて生きることができないと判断した場合。物理的に親に甘えようとしても、それが叶わなければ、子供は自分を救うためにも相手への願いを断ち切ってしまうのです。

そうして、できるだけ早く大人になって、自立することで本当の辛さを見ずに生きて行こうとするわけです。そうやって、大人になってしまうと、子供らしい無邪気さを十分に使わずに過ごしてしまうために、困ったことが起きてきます。

しっかりしなければ、強い自分にならなければと頑張れば頑張るほど、心の奥に隠された無邪気な子供の意識がそれを邪魔するのです。本当は頑張りたくないんだ。

人は、その年齢に相応しい生き方をしなければ、想い残しをすることになるのです。その残った部分が、いつまでも心の奥に燻っていると、いつかは現実のあなたに牙をむいてくるでしょう。

その時になって、ようやく自分の心の中に何やら得体の知れない強力な力を持った闇の部分があると知ることになるのです。

何かがおかしいと感じたときが、生き残っている昔の自分を救ってあげるチャンスなのです。その時の自分のエネルギーが、まだ正常に成仏していないと理解することです。

残った想いは、未来のあなたに向けて訴えてくるのです。心を静かにして、その小さな声に耳を傾けてあげて下さい。そして、丸ごとその声を受け止めてあげることです。

あなたとその声の主の距離が近づけば近づくほど、その子の気持ちや感情を味わって溶かしてあげることができるようになるのです。