意味のないことだと分かっているのですが、実は瞑想をする上での密かな楽しみのようなものがあります。それは、体中の知覚が一点に集中してしまったかのような感覚になることなのです。
それは、あくまでも身体の感覚のことなので、単にそれがやってくるとそれを楽しんでいたのですが、残念ながら最近は瞑想をしてもそれがさっぱり起きなくなっていたのです。
つまらないなと思っていたのですが、自分の努力でそれを起こすことができないので諦めていたところ、久しぶりにそれがやってきました。そして、それがやってくる条件のようなものが少し分かった気がするのです。
瞑想中に気が付くと、眠ってしまったという経験を時々するのですが、そうした明らかな睡眠の場合はもう全く瞑想が中断されてしまうので、その場合には一度仕切り直しをしてから再度瞑想をするようにしています。
けれども、その眠りがどうにも微妙過ぎて、寝ていたとは気づかぬレベルの状態があるようなのです。そして、目覚めているのと、眠りとのちょうど狭間のギリギリのところに意識があると、あれが起きるようなのです。
そして記憶にある限り初めて、強烈なのがやってきました。あっ、久しぶりに来てくれた!と思った瞬間、目の前にしっかりと中心が見えるのです。
それは渦巻の中心のようなものなのですが、別に渦を巻いているわけではないのです。それを凝視した瞬間、ものすごい勢いでその中へと吸い込まれたような気がしたのです。
好奇心と恐怖が混じりあったまましばらくすると、ゆっくりとその中心は消えて行ってしまいましたが、今思い返すと、あれはきっと意識下への通路のようなものだったと思うのです。
しばらくすると、やはり得体の知れないおどろおどろしいものが少しだけ見えてきました。心の奥に隠された怪しい闇の部分が少しだけ見えたのではないかと思います。
心の奥というのは、ある意味深海のようなものですね。私たちは、深海に棲息している生物のほとんどについてまだ未知の部分が多いのですが、それと同じかもしれません。
それにしても、こうした体験をしている自分は明らかに自我(エゴ)なのです。エゴがエゴの隠している部分を暴きに行っているわけですから、何ともおかしなことですね。