しがみつきを点検する

私たち人間は、動物と違って心理的な恐怖というものを持っていますね。ライオンに追われたシマウマも、恐怖によって全力で逃げるのですが、この場合の恐怖は本能的なものです。

人間だけが、本能的恐怖に加えて知性的な恐怖というものも感じるのですから、動物よりも何百倍も恐怖を感じて生きているということになりますね。

その恐怖から必死に逃れようとすれば、人は何かにしがみつくことになるのです。たとえば、溺れそうになっている人は、死の恐怖から逃れようとして藁にもすがりつこうとするのです。

「しがみつき」はきっと誰の心の中にもあるはずです。あなたは、何にしがみついていますか?少し時間をとって、ご自身の心の中を見つめてみて下さい。

緊急時だけでなく、平常時であってもやっているしがみつきを見つけることです。なぜなら、緊急時のしがみつきは、一過性のものなので、あなたの人生を悪化させる心配はあまりないからです。

問題となるのは、常日頃継続的にやっているしがみつきなのです。そのしがみつきには、必ず副作用が発生するのです。それも、本人が望んでいないものが起きるのです。

仮にもしもあなたが、いい人であるということに必死でいれば、そのいい人の仮面へのしがみつきが強ければ強いほど、人といることを嫌うようになってしまうはずです。

せっかく人から好感をもたれようと頑張っているのに、自ら人間関係を壊したくなるくらいにエネルギーを消耗させることになってしまうからです。

底知れぬ寂しさを拭うために、いつも一緒にいたいと恋人にしがみつくなら、相手はいつかそのしがみつきの重圧から逃れたくなって、結局は孤独がやってくることになるのです。

しがみつきとは、ある種の狂気なのです。極端な飽くなき欲求とも言えますね。それは必ず、期待とは裏腹の結果を導くことになることに気づくことです。

自分の心の中を点検して、何等かのしがみつきを発見したら、真反対の副作用がやって来る前に一刻も早く、癒しを進めて行くことですね。