とかく他人のことを否定したがる人というのがいるものですね。何かにつけて、芸能人やスポーツ選手などの有名人、あるいは政治家や著名人のことも否定するのです。
ご本人としては、理路整然と否定しているという思いがあるため、自分が他人のことを否定するには、それなりの正当な理由があると信じているのです。
けれども、自分の周りの何かや他人を否定する心の奥には、必ず著しい自己否定感を隠し持っているとみて間違いありません。
その自己否定を最初にしたのは、勿論本人も覚えていないような幼い頃なのですが、自己否定を感じながら生きているのは辛いものです。
だからそれを抑圧して、感じないようにしてしまうのです。自己否定に蓋をしても、それだけでは安心できないために、その蓋を頑丈にする工夫をするのです。
それこそが、外側への否定なのです。自分以外の何かや誰かを否定するとき、自分はそれとは違うということを自分や他人に対して言明しているようなものなのです。
だから、誰かを否定しているその瞬間、一時的な安心感を得ることができるわけです。当然、その安心感は一過性のものに過ぎないため、繰り返し何度も否定し続けることをせざるを得ない状態になるのです。
せっせと誰かを否定する心の奥には、そうした本人にも気づくことのできない心のメカニズムがあるということですね。
私もよく誰かを否定したりすることがあります。ある種遊び感覚でやっているし、それほどしつこい否定でもないですが、そういう自分を見ているクセがついています。
だからなのか、深刻さを伴った否定をするということはなくなりました。本当は、否定も肯定もないというのが深い部分にデンとあるのです。
あなたの心の中にある否定的な想いを見てあげて下さい。否定するのをやめようとする代わりに、その否定感をしっかりと受け止めてあげればいいだけです。
そのうち、すべての否定がただの遊びになるはずです。