人を騙しても自分を騙すな

何とも過激?なタイトルだと感じた人もいるでしょうね。それは勿論、他人を騙すなどということは間違ったことですし、それを奨励するつもりは決してありません。

けれども、仮に誰かを騙してしまったとしても、してしまったことを反省して、もう二度とそのようなことをしないと誓うことは、それほど難しいことではないと思っています。

改心すればいいわけですから。あるいは、仕方なく誰かを騙すことになってしまっただけかもしれませんね。その自覚がありさえすれば、それを正すことは比較的容易なのです。

ところが、自分を騙してしまうと、思いの外とんでもないことになってしまうのです。それは、一度自分を騙してしまえば、騙している自覚も騙されている自覚もないために、いつまでも続くことになってしまうからです。

だからこそ、決して自分を騙すようなことだけはしてはならないと訴えたいのです。ではなぜ、人は時として自分を騙すことになったりするのか?

それはいたって簡単な理由です。自分の自覚があるままでは、とてもつらくて耐えられそうにない場合、自分で自分を騙して気づかないようにしてしまうのです。

そうすれば、額面通りの苦しみから解放されたかのようにして、生きていくことができるのです。幼い頃は、大人よりも弱い立場で生きているので、環境を変える力もなく、結果として自分を騙すことが一番簡単なのです。

自分の気持ちを分からなくしてみたり、自分の感情を正直に感じることができなくしたり、理屈によって本音を抑え込んだりといったことをするのです。

そうした生き方を始めてしまえば、大人になっても知らず知らずのうちに自分を騙し続けてしまうのです。その結果、本当の自分が抑圧されてその限界を迎えれば、お決まりのウツや感情爆発、そして激しい問題行動という形となって、本人を襲うことになるのです。

自分の内面を深く見つめる以外に、自分騙しを見破ることは難しいと思った方がいいですね。疑わしいという場合には、セラピストの力を借りることも必要かもしれません。