内側に意識を向ける

エゴというのは、外側からの刺激に対して、対処するということを繰り返すことで生き続けているのです。だから、まずエゴは知覚を常に必要とするのです。

その次にエゴが必要とするのは、他人です。エゴは、他人と自分との関わりを通して活躍するものだからです。だから、離れ小島で独りの生活を続ければ、エゴは衰弱していくはずです。

つまり、エゴは自分の外側に広がっているこの世界の中で、誰かとともに生きているという物語の住人であるということです。

だから、例えば高齢になって外出ができなくなったり、人と話すということが極端に減ってしまったり、ということが続くと、エゴは疲弊していくのです。

そうなると、エゴは物語を求めてそれをどこかに探そうとするのです。そして、最後に行きつくのは自分の夢の中ということになるのです。

世間との関わりが少なくなって、人のために何かをすることもできなくなり、役に立つこともなくなってしまえば、エゴはそれを夢の中で実現しようとするのです。

結局、この現実から刺激を得ることができなくなれば、夢を利用するしかなくなるのですね。それは何も老人に限ったことではなく、若者であっても起きる可能性はあるのです。

常日頃から、外に対して生きる代わりに、内側へと意識を向ける訓練を続けていくことで、外部からの刺激に頼らずとも、他人との関係に依存しなくても、充分に生きていくことはできるはずなのです。

大切なことは、自分のことをどれだけ見守っていられるかということに尽きるのですね。