人生物語は夢と同じ

最近老齢のせいか、母親が手が痛くなったり指先が痺れたりするらしく、あまり効果はないのだろうけれどオイルマッサージをしてあげています。

そのときに、ふと母親が、長生きはするもんじゃないねえ。具合が悪くなって人に迷惑をかけるだけの人生なんて、何の意味があるんだろう…などと言うのです。

子育てを遥か昔に終えて、孫の面倒を見終わり、長年連れ添ったパートナー(私の父)を昨年失くして、役に立たない自分でしかないという感覚になっているのでしょう。

私はそんな時、人生というのは元々どんな意味もないんだよと伝えるのですが、それがどれだけ響いているか怪しいです。

人は誰かのために生きているのではなく、何かの役に立つために生きているのでもありません。誰かの世話をしたり、世話をされたり、迷惑をかけたりかけられたり。

ただ自分の存在のままであればいいのです。人生でそれ以外のことはただの夢物語です。目覚めたときに、どんな内容の夢であれ瞬時に消え去ります。

それと同様に、どんな人生物語であれ、死んだ(目覚めた)ときにすべては消滅してしまうのです。ただほとんどの場合は、無意識状態で死んでいくので、目覚めることができないだけです。

百歩譲って、人生で意味あることがあるとするなら、死んでいくときに無意識状態にならないように練習しておくことです。

それが唯一、夢の中でできる夢から覚める確かな方法なのです。できるだけ意識的であり続けられるように、毎瞬毎瞬の注意深さが後でものをいうのですね。