目的の洪水の中で生きている

目的というのは、〜のため、〜を実現するため、のようなもののことですね。だから必ず未来に向けたものです。

生物の進化のプロセスを見てみると、まるで何かはっきりとした目的意識をもって変化してきたように感じるかもしれません。

けれども、そこにはどんな目的もなく、ただ環境に順応できる生物が生き残るという、自然の淘汰が起きてきただけなのです。

植物にしても、たとえば桜の木は一年に一度だけ綺麗な花を咲かせるのが目的で生きているわけではありません。

ところが私たち人間だけが、なにかと目的を持って生活することになったのです。朝目が覚めれば、寝具を片付けて部屋を掃除するのは、その日1日の準備をするという目的がありますね。

何か一つの目的を達成すれば、その後にすぐまた別の目的がやってきて、それを目指して生きるのです。

本当は人間だって自然の一部なのですから、自然が目的を持たないのであれば自分も目的を持つ必要などありません。

たまには、このような視点に立って自分の日々の言動を見直してみるといいかもしれません。すると、どれだけ目的に依存しているかが分かります。

無目的というとあまりいい印象を感じないかもしれませんが、思考(マインド)が作った「目的」から、距離をとってみるとただ在ることの素晴らしさに気づくことができるかもしれませんね。