自我は何も知らない

私たちの自我というのは、無数の思い込みが複雑に重なり合って保たれているのです。思い込みというのは、思考によって何かを信じるということ。

ところが自我本人は、そのことを知らないのです。自分は色々なことを知っている、知識があると思っているのです。

けれども、それは単なる思い込みでしかないのです。思い込みが更に強まれば、それはまさに信念になるのです。

自分の自我は、実はほとんど何も知らないということに、どうやったら気づけるのでしょうか?

知っているということが単に信じているだけだと見抜けばいいのです。本当に知っていることは、信じることができないのです。

知らないからこそ信じる、つまり思い込むことができるのです。自我は本当は何も知らないと気づいたときから、真実が身近なものに感じられるのです。

思考の世界からほんのわずかな間でも離れることができたら、自我は何も知らないということがもっと明確になるはずです。

何も知らないことに気づくと、自我は静かになるのです。ある種の降参がやってきて、落ち着くのです。

何も知らなければ、戦うことすら不可能になるからです。独り静かにいるときに、このことに意識を向けて見ることですね。