苦しみとか苦悩というのは、私たち人間だけにあるものではなく、動物にも同じようにあると考えるかもしれません。
私は小学生くらいのときに、飼っていたセキセイインコが悶え苦しんで死んでいく様を見ていたことがありました。
本当に苦しそうで、それでもどうしてやることもできずに、ただ動かなくなっていくのを見守るしかできませんでした。
けれども、実は動物というのは自我がないので、苦悩するということはないのです。肉体的な痛みはもちろんあるのですが、心理的な苦しみはないのです。
なぜなら、それは思考からやってくるものだからです。苦しみというのは、自我の期待が裏切られたりすることで作られるものなのです。
私たちは自分の自我が苦しむのを知っているため、それを相手に投影して見てしまうので、動物でも同じように苦しんでいると感じてしまうのです。
自我が作りモノであれば、それがこしらえた苦しみも作りモノです。惨めさも罪悪感もすべてが思考によってでっち上げられたものです。
自然界にあるのは、単なる快不快や痛みなどであり、それもいつかは消えていくものなのです。
もしもあなたの自我が消えていくなら、その時はどんな投影もすることがなくなるので、苦しみというものが実在しない世界を見ることになるはずです。