エゴは二元性の振り幅を増大させる

寒いのは好みではないのですが、この季節にもあっぱれなところはあるのです。それは、紅葉によって草木の彩りが素晴らしい艶やかさを見せてくれるから。

もっとも感じ方は人それぞれ。会社員だったころ、アメリカ出張中に毎日のようにフリーウェイの両側に広がる大規模な紅葉を眺めながら出勤していたことがあったのです。

ただ、そのことを会社の人たちに伝えても、ほとんど興味を持ってもらえませんでした。たまたま、仕事上気持ちに余裕がなかったからか、民族の違いなのか。

とにかく紅葉をどのように感じられるかは、人によって様々なのは確かなのです。それでも、そうした大自然の粋な計らいを感じ取れるのは人間の特権かもしれません。

けれどもひっくり返せば、ほかのどの動物たちも感じることのできない苦悩も私たちには与えられるのです。つまり、人間はそれだけ振り幅が大きいということ。

決まった発情期がなく、年がら年中セックスを楽しめるのも人間ですが、その一方では動物には決してない精神的な不快感があるのも人間だけ。

快楽を求めればその分だけ不快がくっついてくるということ。安全を求めれば、求めただけの不安も付いて回るということです。

これが二元性の原理なのです。エゴが活動すると、その振り幅はとても大きくなるのですが、それが悪いということではありません。

またエゴが小さくなればなるほど、振り幅は小さくなって行くのです。それを中道とブッダは呼んだのですが、そこにだけ至福が横たわっているのですね。